佐賀百家図鑑 SAGA VISUAL DICTIONARY

PROFESSIONAL佐賀の農業者

美しく、愛される花を、この手で咲かせ続けたい。

山口智宏 / Tomohiro Yamaguchi 30歳

佐賀市東与賀町のカーネーション農家として生まれる。農家を継ぐきっかけは、父親から見せられた札束。「農家ってこんなに稼げるんだ!」と思い就農を決意。アメリカ留学の経験や、農業大学校で学んだことを活かしながら、花店や卸業者などのプロが認める花作りには定評がある。数々の賞も受賞している。若手農家で組織する4Hクラブの会長も務め、栽培技術、人格ともに評価される期待の若手農家。将来的に、子どもが「継ぎたい!」と思ってくれるような農家としての環境整備を目指している。家族は、奥様とふたりの子ども。

父が教えてくれた花農家の魅力。

カーネーション農家の長男として生まれた山口さん。商業高校を卒業後、佐賀県農業大学校へ進学。在学中には、農家の友人や人脈が多くできたと言います。卒業後、1年半のアメリカ農業研修へ。帰国後に、家業へ入る本格的な決意をしたのは、カーネーション農家にとって書き入れ時である母の日に稼いだ大金を、父親から見せられた時でした。本人は、不純と言いますが、父の背中に憧れを抱いた出来事でもあります。

期待に応えるためのこだわり。

日本国内でカーネーションを栽培する上で、栽培環境をコントロールできるハウスは不可欠です。また、病気に強いカーネーションを育てるために、収穫後の土の殺菌も必要です。土あっての作物なので、殺菌はもちろんのこと、養分の高い土作り、根張りを良くするための土作りなどその技術の向上に余念がない山口さん。全てはきれいな花を咲かせるために。消費者の期待に応える挑戦にゴールはありません。

心強い仲間とのつながりがある。

県内の若手農家が集まって組織される佐賀県農業青年クラブ連絡協議会「4Hクラブ」に所属する山口さんはその会長を務めます。農業の将来を担う若手農家同士の交流を築く機会として、また、農業経営の課題を一緒に解決する仲間が集う場所として、山口さんにとって大切な組織だと言います。若手ならではの悩みや技術的な課題など、相談できる存在が近くにいること自体が、心強いそうです。

将来、息子が継ぎたいと思えるように。

長男が生まれて、山口さんの家族は4人になりました。将来的には、カーネーション農家を継いでもらいたいという希望もあるとか。そのために、収入面や環境面の整備を強化していきたい、と意気込んでいます。「やったぶんだけ帰ってくる」と言った山口さんの父としての背中も、きっと子どもたちは見てくれているはずです。言葉の端々に、花屋や卸業者のプロにも、消費者にも評価される花作りへの情熱が感じられました。

AGRICULTURAL PRODUCTS佐賀の農産物

No.07
  • 【学名 : カーネーション Dianthus caryophyllus L.
  • 目: ナデシコ目 Caryophyllales
  • 科 : ナデシコ科 Caryophyllales
  • 属 : ナデシコ属 Dianthus
  • 原産 : 地中海沿岸・西アジア

EDITING POSTSCRIPT編集後記

佐賀百家図鑑第七回目は、東与賀のカーネーション農家 山口智宏さんを取材させていただきました。佐賀県農業青年クラブ連絡協議会「4Hクラブ」の会長を務めながら、カーネーション農家2代目として真摯に農業に取り組む姿が印象的でした。カーネーションと言えば、言わずと知れた母の日のシンボル。美しさと日持ちが重要視される生花は、設備投資や栽培管理に大きなコストを要します。しかし、母の日という大きなニーズと、農家減少による供給量の低下により、大きな将来性があります。花との世界だけでなく4Hクラブ会長として青年農業者を先導する姿からも、県域の農業を背負う覚悟と責任を強く感じている様子が伺えました。地道な作業の積み重ねが可憐な花を咲かせるように、佐賀の農業に大輪の花を咲かせようと、山口さんの目は常に未来に向いていました。

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