佐賀百家図鑑 SAGA VISUAL DICTIONARY

PROFESSIONAL佐賀の農業者

家族、仲間、食べた人を笑顔にする仕事。
農業という仕事を、誇りに思う。

中山道徳 / Michinori Nakayama 31歳

梨農家の次男として伊万里市に生まれる。23歳の時に、自動車整備士からきゅうり農家に転職。勉強熱心な性格に加え、最先端システムの導入や積極的な情報交換などが功を奏し、現在、きゅうりの収量は県内トップクラスを誇り、その9割は大阪へ出荷されている。
伊万里の若手きゅうりが集う「胡青会」のリーダー的存在でもあり、平成29年には佐賀県が主催する「第44回佐賀農業賞」の優秀賞を受賞。きゅうりの世界にとどまらず、佐賀県の農業をリードする若手農家として注目を集めている。家族は、奥さまと2人の子どもと1頭の犬。

1.きゅうり一本一本に、たくさんの情熱を注ぐ。

きゅうりは、生育のスピードが早い野菜。中山さんは、収穫時期を見逃さないよう、ハウス内を一本一本ていねいに見て回ります。その真剣な顔からは、きゅうりへの情熱が感じられます。きゅうりの表面にあるイボは、折れるとそこから水分が抜けて鮮度が落ちるそう。「イボが折れないように収穫するのもおいしいきゅうりづくりのポイント。細かな気配りが重要です」と教えてくれました。

2.最新のシステムと仲間の絆で、もっとうまいきゅうりを。

中山さんのハウスは、きゅうりの生育を助ける二酸化炭素の発生装置や自動で水を与える機器など、最先端システムを導入しています。初めは「必要あるかな?」と思ったそうですが、収量や品質に良い結果が出ているので、今では大切な相棒です。また、伊万里胡瓜部会の仲間との情報交換や定期勉強会も欠かせません。最先端機器を導入し、仲間と切磋琢磨する新しい農業の形がそこにはありました。

3.前職は、車の整備士。転職と家族への思い。

前職は、車の整備士だった中山さん。梨農家を営む実家が、新たにきゅうりの栽培を始めた矢先、父親が病気に。「きゅうりは収量も多く、やりがいもありそうだったので、チャンスだと思い転職しました」就農してやりがいも収入もアップ。家庭を持つこともできました。「大変なこともありますよ。でも、家族のもとに帰ると元気になりますね!」と話す笑顔からは、充実した毎日が感じられました。

4.来年は規模を拡大。ハウスの中で、夢は広がる。

「現在、2棟のハウスで栽培中ですが、来年はもう1棟ハウスを新設する予定です。ここにも最先端の設備を導入し、きゅうりはもちろん人間が働きやすい環境をつくります」と、目を輝かせながら展望を聞かせてくれた中山さん。今後は、もっと経営の方に目を向け、新しい品種に挑戦したり、雇用を増やし家族との時間を少しでも多く確保したいとのこと。中山さんの夢は、まだ始まったばかりです。

きゅうりのハウス栽培は年間を通して管理が必要な以上、どうしても自由度が低くなってしまうという中山さん。しかし、応援している家族の存在が今を充実させてくれていると言う。家族を養い、若くして一軒家を手に入れた今の状況を見ても決して収入が悪い訳でないよう。「もっと高みを目指して..」と、謙遜と野心を自己評価に覗かせてくれています。

きゅうりは成育が早く、ハウス栽培は年に2回収穫ができるため、年間を通して管理が必要な作物。中山さんの年間の労働時間を見ると、自然を相手にする農家という職業の大変さ、そして、農業賞を受賞する程の日々の弛まぬ努力と愚直さが見てとれます。「今の時間の使い方は決して良いとは思ってません。もっと効率よく、更に品質を向上させる人員体制とシステムを来年はつくっていきたい。」と中山さんは語っています。

AGRICULTURAL PRODUCTS佐賀の農産物

No.01
  • 【学名:きゅうり Cucumis sativus】
  • 目:ウリ目 Cucumbitales
  • 科:ウリ科Cucumbitaceae
  • 属:キュウリ属Cucumis
  • 原産:ヒマラヤ山嶺

佐賀県のきゅうりは、主にハウスで栽培されます。温暖なハウスで栽培することによって、一年中安定してきゅうりを供給することができるのです。特に、伊万里地区は、佐賀県トップクラスの生産量を誇ります。昭和50年代に入ってから栽培が始まって以来、収量・味・鮮度に優れた伊万里きゅうりブランドを確立しました。生産者が収穫の段階で選別したきゅうりを、さらに集荷場で厳選し、関西市場を中心に出荷。県外でも高い評価を得ています。

EDITING POSTSCRIPT編集後記

第1回目の『佐賀百家図鑑』は、昨年「第44回佐賀農業賞」において、優秀賞を受賞されたきゅうり農家の中山道徳さんを取材させていただきました。
きゅうりのハウス栽培は通年の成育管理が必要な作物ですが、佐賀県では現在積極的に管理システムが導入され、徐々に収量、新規就農者共に増えている成長分野です。その勢いのある佐賀県におけるきゅうり栽培を牽引するのが中山さん。
若くしてきゅうり部会のリーダー的な役割を担い、自分だけではなく地域と肩を並べて成長しようという姿勢に驚かされました。取材中は少々謙遜した様子でしたが、ハウスの管理状態や作業の様子を見ると、膨大な時間と労力を日々の細かな目配り気配りに費やし、より良いものを突き詰める、正に職人気質な性格が伺えます。「きゅうりはやればやるほど返ってくる作物」そう口にした中山さんの目からは更なる野心と希望を強く感じました。
農業は、他の職業では決してできない自然から「命」を生み出すクリエイティブな仕事です。そんな誇り高い仕事に就き、家族と共に人生を確実に歩む姿から、中山さんの物心両面の豊かさや充実ぶりを垣間見ることができました。

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